ヴェネチアの職人が1本1本手作りしているガラスペンは、ガラスの魅力を凝縮したような素敵な佇まいです。
書く度に、ガラスの心地よい重量感と書き心地のなめらかさ、インクの香りが気持ちまでおだやかにしてくれます。
大切に販売しているこのガラスペンが生まれる場所を、仕入れの時に撮った写真でレポートします。
仕入れ日記「ガラスペンに触れる旅」
ミラノから巨体の特急電車に乗って、ヴェネチア本島のSanta Lucia駅まで、約2時間30分。
大都会ミラノから、ロミオとジュリエットの舞台・Veronaを通過して、ヴェネチアへ。車窓からの眺めも、都会から田園風景へ、途中で葡萄畑へと変わり、いつまでも見飽きることがありません。
そろそろかな・・・なんて腰を上げたくなる頃、ある時突然、目の前に海が広がります。
夏であれば、目の前に地中海が青く広がり、胸をときめかせてくれます。
ヴェネチア本島 Santa Lucia駅の長ーいホーム。大きなスーツケースをゴロゴロ引いた大勢の旅行者。
みんな嬉しそう。
まずはSanta Lucia 駅に到着。
目の前に広がる運河やボート、ひなたぼっこする旅行者。にぎやかな玄関口です。
泊まりはヴェネチア本島のホテル。チェックイン後に荷物を預け、ここからは水上バスでムラノ島へ向かいます。
水上バスの駅。
路線はそれなりに複雑なので、乗る駅を間違えないように。ムラノ島直通の水上バスは、本数もそう多くないので時間は大切。
ムラノ島で働く人たちも、住まいそのものがムラノ島の人は少なく、ほとんどの方は本島に住んでいるそうです。
なので、朝晩の出勤時間帯は結構満員ボート。
この水上バスは、相当な悪天候や霧の日でも動いてくれるので本当にありがたい。
ヴェネチア本島はもちろんですが、どの島も車は走れません。移動は基本、人力。かつ、階段や橋など、上下の移動も激しいので、歩くことが基本です。
お目当ての水上バスに乗って、ゆっくりと水路を進みます。
運転手さんはとっても運転が上手。当たり前だけど、やはりすごい!と毎回思います。
水路の両側は「これぞヴェネチア!」という建物が続き、やがて沈み行く島に流れて来た、長い長い時間を思います。
水路をゆっくりと進み、内海に出るとボートは一気に加速して進みます。
夏は当然、外のデッキが人気。空を見上げて海風を浴びます。
私はおばさんなので、座りたい派。
ムラノ島が見えてきました!ヴェネチア本島から水上バスで約20分程の距離。
ムラノ島は、島全体が1つのガラス工房とも言える特異な島であることは有名です。
ムラノ島には確か、駅が2つ。いつもの駅まで、あともう少し。「みんな元気かな?」なんて考えながら、ボートが速度を落として駅に近づいていく時間が大好きです。
仕入れは体力がいるので、まずは腹ごしらえが重要です。特にムラノ島にはお目当てのトラットリアがあるので、気持ちがせいてせいて仕方ありません。
いくつもの工房を回るので、工房の誰かと一緒にランチをとることも多いです。このトラットリアは、ヴェネチアならではの前菜や、シンプルなパスタが本当に美味しい!陽気な店主は絵に描いたようなヴェネチア人。いつも少し酔っているけれど、明るくてお洒落な人です。
たらふく頂いて、気持ちも上がってきたら、さあ!ガラスペン職人さんのアトリエへ向かいます。
運河に面したアトリエはショップも併設しています。決して大きいとは言えないスペースですが、代々家族で引き継いで来たそうです。そして今は彼女の息子さんもこの椅子で作っています。
彼女が丁寧に作ってくれるガラスペン。制作風景をご覧下さい。
彼女が制作しているのは「Avventurina」の緑色です。ちなみに彼女は緑が一番好き、だそうです。
スタートは鼻歌まじりに軽快です。リズムが大切なんでしょうね。
リズミカルに進む作業は見飽きることがありません。
彼女の手元でガラスはどんどん変化していきます。自分でもできるかも?と錯覚してしまう、なめらかな手さばき。
彼女のお父様もここで、ガラスペンをお作りになっていたそうです。
こうして彼女が丁寧に作ってくれるガラスペンを、私たちも大切に販売しています。
ガラスペンは、使ってみて初めて、そのなめらかな書き味に驚かれることでしょう。
確かに、実用品ではありません。
けれど、1文字したためるごとに、思いも染みていくような書き味とインクの香りは、優雅で静かなひと時を運んでくれます。
私もガラスペンを使うと、彼女の早口のイタリア語が聞こえてくるような気がします。
今日は久しぶりに彼女に、そして家族や友人に手紙を書こうかな。
そして、使ってみようかな!と思った方は
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